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硬質ウレタンはどれほどの耐性があるのか?要因別に紹介

2022.03.04

硬質ウレタンはどれほどの耐性があるのか?要因別に紹介

素材の性質が変わる原因には多くのものがあり、例えば酸素・紫外線・熱・水分・薬品・虫などがあります。
硬質ウレタンが何に強くて何に弱いのか、素材の耐性を把握しておくことは大切です。

性質が変わるということは製品の劣化につながるため、相性の悪い要因から離れたり一緒に使用しないよう注意したりしなければなりません。

そこで今回は、硬質ウレタンの耐性を4つの阻害要因別にご紹介します。

  1. 耐薬品性
  2. 耐水性・耐湿性
  3. 耐火性
  4. 害虫やネズミ

 

 

硬質ウレタンの耐薬品性

耐薬品性とは、薬品によって物質が溶けたり膨潤(溶液を吸収して膨らむこと)したりするなどの反応や変化の起こりにくさを言います。
物質に反応がないほど、耐薬品性があると判断されます。

以下は、ウレタンフォーム工業会がまとめた硬質ウレタンの耐薬品性の一覧です。
硬質ウレタンは一部の強力な酸には弱いものの、多くの化学薬品に対して安定的な性質を持っています。

物質 安定度 物質 安定度
海水 安定 塩化メチレン 膨潤
石鹸水 アルコール類
ベンゼン 四塩化炭素
トルエン MEK
キシレン アセトン
ガソリン 酢酸エチル
灯油 スチレンモノマー
濃苛性ソーダ 濃塩酸
植物油 濃硫酸 溶解
動物油 濃硝酸

(参照:ウレタンフォーム工業会

 

 

硬質ウレタンの耐水性と耐湿性

硬質ウレタンは水分や湿気が浸入しにくい「独立気泡構造」を持ち、水に強い性質があります。
そのため、水の影響で硬質ウレタンの持つ性質に変化が起こる心配はないようです。

独立気泡構造については、硬質ウレタンの特性を紹介したこちらの記事で解説しています。
【簡単解説】硬質ウレタンの特性とは?|メリットとデメリット

水をほとんど吸収せず、かつ高い浮力を持つため海や川で使用されるものと相性が良く、船や港湾などのマリン事業に使われることが多いです。

また硬質ウレタンは断熱材に使われますが、一般的な断熱材は水や水蒸気によって断熱効果が低下します。
しかし、水を浸入させない硬質ウレタンなら断熱効果にあまり影響を与えません。

住宅用ウレタン断熱研究会が行った試験では、極端な水蒸気圧力差を与え強制的に10%程度含水させても、熱伝導率の変化率は8%程度だったそうです。
(参照:日本ウレタン工業協会)

そのため一般的な住宅や事務所ビルなどの場合、通常の使用では水蒸気浸入による熱伝導率への影響は心配しなくてもよいと考えられています。

 

 

 

硬質ウレタンの耐火性

一般的にはマイナス70℃〜プラス100℃くらいの範囲で使用でき、さらに特殊配合をすることでマイナス160℃〜プラス150℃くらいまでの温度下で使用可能にすることができます。

しかし、硬質ウレタンは火がつけば燃える可燃物素材です。
以下のグラフは各素材の着火性を示したもので、木材よりは発火点や引火点が高い素材になります。

各素材の着火性表

(参照:硬質ポリウレタンフォームの火災及び防災に関するQ&A集

断熱材として新築や建設現場で施工されたのちに、空調設備などの溶接溶断工事による火花が硬質ウレタンに燃え移り、火災を引き起こす事例が時々見られます。

このような被害を少しでも抑えるため、難燃剤の混合や原料を特殊配合することで燃えにくくすることはできます。

 

難燃性はJISで規定された試験によって評価されますが、これらの試験は一定の条件下で材料の燃焼性の比較を目的としているものです。
必ずしも実際の火災時の危険性を反映したものではありません。

難燃剤を使ったとしても、燃焼しない素材に変わるわけではありませんので、硬質ウレタンを扱う際には火気に十分注意してください。

 

 

硬質ウレタンは害虫とネズミ被害に強いのか

虫の害を受けたという報告が一部なされたことはありました。
しかし他のプラスチック同様、硬質ウレタンは虫やネズミの害に対して心配のない材料で、防鼠用商品にも使われています。

カビなどの微生物分解に対しては、強い抵抗性を持っていて、侵食されることはありませんが、高温高湿の環境下ではカビが発生することはあります。

 

 

まとめ

今回は、硬質ウレタンの耐性について解説してきました。まとめると以下になります。

● 耐薬品性 → 強力な酸には弱いものの、多くの化学薬品に対して安定的
● 耐水性・耐湿性 → 安定
● 耐火性 → 難燃剤を混合してある程度は燃えにくくできるが可燃物である
● 害虫やネズミ → 安定

もし、上記でご紹介していない環境下で硬質ウレタンの使用を想定しているようでしたら、一度浜口ウレタンにご相談ください。

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