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【簡単解説】硬質ウレタンの特性とは?|メリットとデメリット

2022.02.10

【簡単解説】硬質ウレタンの特性とは?|メリットとデメリット

ウレタンとは正式名称が「ポリウレタン」というプラスチック樹脂素材のことですが、略してウレタンと呼ぶことが多いです。

薬剤を配合して作られ、配合するレシピ次第でさまざまな特徴を持ったウレタンを作ることができます。
ウレタンは固さを変えて作ることができるので、固さ別に「軟質ウレタン・半硬質ウレタン・硬質ウレタン」と分類されます。

その中でも今回は、自動車の衝撃吸収材や医療機器の部品、住宅の断熱材などに使われる「硬質ウレタン」の特性とメリット、デメリットを見ていきましょう。

 

硬質ウレタンの特長

硬質ウレタンとは、複数の薬剤を混合し発泡させて作る樹脂素材です。

発泡と聞くと泡なので、強度に不安を感じる方も多いかもしれませんが、
硬質ウレタンは木材と同程度の強度があります。

料理のレシピのように混ぜる薬剤の分量や種類を変えると、強度や膨らむ大きさ(倍率)の調節が可能です。

硬質ウレタンの作り方は、主剤の「ポリイソシアネート」と「ポリオール」に、触媒や発泡剤、整泡剤を入れます。

ポリイソシアネートはNCO(イソシアネート)基を2個以上有する有機化合物で、ポリオールはOH(ヒドロキシル)基を2個以上有する脂肪族化合物です。

触媒にはアミン化合物等、発泡剤には水やフルオロカーボン等、整泡剤にはシリコーンオイル等が使用されます。

なんだか化学の授業のようになってしまいましたが、以下のイメージ図のように必要な薬剤を混ぜます。

 

 

これらを混合すると、ものの数秒で泡化反応と樹脂化反応が同時に起こり、均一なプラスチック発泡体ができあがります。
泡化反応を起こして作られることから、「硬質ウレタンフォーム」という呼称も一般的に使われます。

以下は、ウレタンフォームの化学反応を実験している動画です。泡化反応と樹脂化反応により膨らんで固くなる様子はこちらをご覧ください。
ウレタンフォーム(はぴエネ!#547)/Polyurethane Foam

 

 

硬質ウレタンのメリット

硬質ウレタンの素材のメリットにはさまざまありますが、ここでは6つご紹介します。

細かい成型ができる

硬質ウレタンを成型したい容器や型の中で発泡させることで、好きな形に作ることができます。

化学反応する際、型の隅々までまんべんなく充填できるため、例えば以下の画像のような細かい設計や繊細な設計に対応することが可能です。

 

水・湿気に強い、水に浮く

硬質ウレタンは「独立気泡構造」になっているため、水や湿気、水蒸気の浸入に強い素材です。内側の空気の層が外に抜けることはなく、体積に対して重量が軽いため水に浮く力が大きくなります。

独立気泡構造とは気泡がそれぞれ独立している構造のことで、水や湿気などが入り込みにくいのが特徴です。
以下のイメージ図をご参照ください。

他の素材と接着できる

硬質ウレタンは膨らんで固くなるまでの間に、別の素材をくっつけておくと接着する性質があります。
その性質を活かして、容易に異種材料との複合品を作ることが可能です。

例えば、自動車のヘッドレストやシートのように、表面のカバーと一体になった製品を作ることができるので、縫製の手間が不要になります。
金属や合板、コンクリートなども、接着剤を使わなくても対象物表面に直接発泡すれば接着します。

 

熱伝導率が低い(断熱効果がある)

先ほどご紹介した動画にもあったように、硬質ウレタンは熱伝導率が低いため、断熱効果や保冷効果が期待できる素材です。

熱伝導を抑えてエネルギー効率を高めるため、住宅の断熱材や冷蔵・冷凍庫、クーラーボックスなどに利用されています。

木材より腐りにくい

硬質ウレタンは木材と同じ程度の強度があります。さらに、虫が湧かず腐りにくいところがメリットです。

医療機器のように壊れるリスクを極力減らさなければならない機械では、合板などの木材よりも硬質ウレタンが適しています。

金属より軽い

金属よりも軽く強度も確保できるため、金属部品の代替資源としても活用されています。

自動車ではCO2排出量を抑えるため軽量化が求められており、硬質ウレタンを金属部品の代替に利用され、軽量化に貢献しています。

 

硬質ウレタンのデメリット

 

硬質ウレタンのデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは2点ご紹介します。


UV(紫外線)に弱い

硬化したウレタンはUV(紫外線)に弱いため、特に直射日光が当たるような場所では劣化が早くなります。

そのためシートの芯材や機械の中に使い、UVが当たらない場所に使われる部品や断熱材として使われることが多いです。

冷凍冷蔵倉庫のような、UVが当たらないところで使用されている硬質ウレタンのなかには、40年を超えて使用されている例もあるようです。

もし、直射日光の当たるところで扱うのであれば、塗料などで表面を処理してUV対策するのが良いでしょう。


火や熱に弱い

硬質ウレタンには明確な軟化点や融点がありませんが、使用可能な温度は-70℃~100℃くらいです。

原料にグラスネットなどの補強材を加えたり、配合を変えたりすることで-200℃~150℃くらいまでの使用ができるようになります。

ただ、それでも可燃素材ですので火がつくと燃え、独特の臭いを発します。

 

まとめ

多くの業界や分野でさまざまな形状で用いられる「硬質ウレタン」の特性とメリット、デメリットを分かりやすく解説してきました。

硬質ウレタンは、料理のレシピのように薬剤を組み合わせて作る樹脂素材です。

細かい成型ができ、水や湿気に強いなどのメリットがあるため、私たちの身近なもののなかにはウレタン素材で作られているものが多くあります。

硬質ウレタン素材で「こんなモノを作れないか?」などのお困りごとがあれば、どんなことでも良いので、お気軽に浜口ウレタンにお問い合わせください。

浜口ウレタンへお問い合わせはこちらから

 

 

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